(1)概要

政府は令和6年12月27日、令和7年度税制改正の大綱を閣議決定しました。今回はその内容について個人の所得税に関する事項を抜粋して解説したいと思います。

(2)基礎控除の引き上げ

(合計所得金額とは、給与収入等から給与所得控除等を差し引いた金額です)

合計所得金額改正後改正前
2,350万円以下58万円48万円
2,350万円超2,400万円以下48万円48万円
2,400万円超2,450万円以下32万円32万円
2,450万円超2,500万円以下16万円16万円
2,500万円超0円0円

(3)給与所得控除の引き上げ

55万円の最低保障額が65万円に引き上げられます。

(4)特定親族特別控除(仮称)の創設

従来、生計を一にする年齢19歳以上23歳未満の親族等で所得基準が48万円を超える場合、控除はありませんでしたが、今回の改正で以下のとおり特定親族特別控除が創設されました。今回の改正により48万円を超えても85万円までは従来通りの控除が受けられます。

親族等の合計所得金額控除額親族等の合計所得金額控除額
58 万円超85万円以下63万円105 万円超110万円以下21万円
85 万円超90万円以下61万円110 万円超115万円以下11万円
90 万円超95万円以下51万円115 万円超120万円以下6万円
95 万円超100万円以下41万円120 万円超123万円以下3万円
100 万円超105万円以下31万円123万円超0円

(5)基礎控除等の見直しに伴う措置(抜粋)

控除の種類改正後改正前
同一生計配偶者・扶養親族の合計所得等要件58万円48万円
ひとり親控除における子の総所得金額等58万円48万円
勤労学生の合計所得金額要件85万円75万円

(6)個人型確定拠出年金の拠出限度額の引き上げ

いわゆるiDeCoについて拠出限度額が以下のように増額されました。

種類改正後改正前
第一号被保険者  月額7.5万円月額6.8万円
企業年金
加入者
月額6.2万円-確定給付企業年金ごとの掛金相当額等月額2.0万円-確定給付企業年金ごとの掛金相当額等
企業年金に
未加入の者
月額6.2万円月額2.3万円

*税制改正の大綱は閣議決定されただけであり、法律改正はまだ行われていません。いわゆる103万円の壁のように、今のところ123万円(基礎控除58万円と給与所得控除の最低保証65万円の合計)となっていますが、法律改正が行われるまでは実際にいくらになるかは今のところ不明です。


税理士法人 和田タックスブレイン 代表税理士
髙田 幸史 先生