終わりに:Happy! Happy! Happy!

歯科界は決して華やかな世界ではありません。AI人工知能のような最先端テクノロジーの斬新さも話題性も少ない。むしろ地味なコンテンツだと言えるでしょう。常にテレビドラマ化され華やかに思われる一般医療との違いは、個人経営の歯科診療所が全体の9割を支えていること、つまり臨床も経営もひいては患者満足も院長の双肩かかっている割合が大変大きいということです。私も前期高齢者となり、年金をもらう年齢となりました。過去を振り返ると、仕事に対して不安や苦悩を山ほど抱えていた時期が確かにありましたし、良いことも悪いことも大波のように繰り返し押し寄せてきました。臨床のコツ、開業してからどう勉強したら良いのか、患者さんとどう接すれば良いのか、代診の先生やスタッフ教育の問題など、経営する側の責任の重さを感じ続けてきた年月でした。患者さんの笑顔が私たち医療人の最終的な目標であり希望です。患者さんにとっても、笑顔で健康な生活を送ることが幸せの始まりだとしたら、我々も真摯に臨床と向き合えば、幸せな笑顔を患者さんからたくさんいただくことができます。自分だけでなく、誰かの幸せのために仕事ができること、そしてその喜びを存分に味わえることができれば幸いです。これまで数々の歯科臨床での経験や患者さんに対する思いやその時々の感動を思い出しながらコラムにしました。これまで激励してくださった方々と、これからも根気よく私のお付き合いしてくれる全ての方々にハッピーな瞬間がたくさん訪れますように願っています。

最後にこのような執筆の機会をくださった、玉井歯科商店、玉井誠一社長に心より感謝申し上げます。

                                    (終わり) 


北九州市開業
上田 秀朗 先生