いよいよ終盤の連載13回目は『スタッフを育てるツボ』の残りと『若手歯科医師を育てるツボ』について述べてみる。『スタッフと腹を割って話ができる院長に』時にはスタッフと食事会を開催して欲しい。ふだん診療室内では聞けないスタッフの愚痴や悩み事など酒を酌み交わしながら分け隔てなく話すことができる。これにより筆者もそれぞれのスタッフの個性を理解した上での対応ができるようになった。医院の大部分を動かしてくれるのはスタッフである。『チーフをまず育てる』医院の治療スタイル、治療方針などを理解してくれる院長の右腕的存在のスタッフをまず育てる。スタッフ育成はチーフに任せ、院長は足りないところを補うようにすれば、スタッフの入れ替わりの際、医院システムが崩れることはない。またチーフが院長とスタッフとの架け橋になれば、院内でのコミュニケーションが取りやすくなり、働きやすい環境作りが可能になる。『スタッフに感謝の気持ちを伝える』日々の忙しい臨床の中では、患者さんのことで精一杯になり、スタッフ1人ひとりに目が行き届かなくなる場合がある。スタッフがいてくれるお陰で、診療が成り立っていることを忘れず、時には感謝の言葉をかけてあげる心遣いを持つべき。病院内の雰囲気がよいとよい治療にもつながる。『指示ではなく提案にとどめる』スタッフを信頼し任せる事は、自発的に仕事に取り組める環境作りのために大切である。しかし方向性を見失っているときには手を差し伸べてあげなければならない。なお、そのような時でも考えさせることが重要である。行き過ぎた指示はスタッフを育てない。提案に留め少し放置して見守る廻り道も必要。『自分の考えを効果的にどう伝えるか』自分の考えを患者さんやスタッフにどのように伝えるのかは、永遠の課題である。その際に抑えるべきポイントは内容を着飾るのではなく無駄をそぎ落とし、すべてをクリアにしたうえで一貫してブレなく伝えることである。『仕事に対してやりがいを持たせることが大事!』好きこそ、物の上手なれ。Z世代となった現在の若手歯科医師との交流も悩むところであるが、歯科医師としての誇りとやりがいを持たせることが大事!『歯科医師である前に社会人』当たり前だが、歯科医師である前に社会人である。そして社会人はすべての行動に責任をもつ必要がある。これができていなければ、よい治療結果も望めない。
次回は『若手歯科医師を育てるツボ』の残りについて述べてみる。
北九州市開業
上田 秀朗 先生