11回目となる今回は『患者さんへの対応のツボ』について述べてみる。『患者さんとより良い人間関係の構築を!』患者さんとのより良い人間関係の構築はいつの時代も不可欠。たとえば治療再介入の必要がでた場合も、人間関係が構築されていれば患者さんも理解してくれるはずである。逆に適切な人間関係が構築できていないのであれば、場合によっては手を出すべきではないかもしれない。『実際に治療を受けて患者さんの気持ちを知る』患者さんの本当の気持ちは、なかなかわかりにくい。そこで浸潤麻酔や印象を含め可能な限り実際の診療を体験することも必要。また実際に自分に悪い歯があるのなら治療を受けて、その時の緊張感を直に味わうことも1つ。『治療費を話す時期を見極める』全顎治療を自費治療で行う際、治療費はかなり高額になる場合が多い。そのコンサルテーションを行う時期の見極めが重要になる。きちんとしたインフォームドコンセントを行い信頼を勝ち得なければ、患者さんは首を縦に振らない。またボーナス時期だとか、今日は機嫌が良さそうだとかの見極めも重要。『ブラッシングだけが患者さんの人生ではない』可能な限り天然歯を残すことは必要だが、歯周病が進行し、ホープレスの歯を残すのはどうか?そのような歯は当然、歯根露出などでブラッシングも難しい環境におかれている。ブラッシングに明け暮れるより、抜歯した方が患者さんの負担は少なくなる場合も多い。『患者さんに説明しながら、実は隣の患者さんへ話を聞かせる場合も』隣のチェアに初診の患者さんや治療に対して少し躊躇している患者さんがいたら、聞こえるようにわざと少し大きな声で話をする場合もある。たとえばインプラントの価格の説明や治療の内容、コンセプトなど。また納得のいく治療ができた患者さんと自費治療の良さについて話をするのも効果的である。すると、再度説明を行うときに患者さんの興味がこちらに向くであろう。もちろん、プライバシーをきちんと守ることはいうまでもない。『戦略的なインフォームドコンセントを!』もっともよい選択肢を患者さんにチョイスさせるような流れにすることが重要。インフォームドコンセント:治療の内容を説明し、歯科治療に対して同意を得る。インフォームドチョイス:治療の内容の選択肢を提示し、患者さんと相談しながら決定していく。厳密な意味でのインフォームドコンセントは、治療の内容や同意を得ることは当然であるが、最終的な治療結果に満足していただき初めてその意味を成す。

次回は『患者さんへの対応のツボ』の残りと『スタッフを育てるツボ』について述べてみる。


北九州市開業
上田 秀朗 先生