(1)概要

政府は令和5年12月22日、令和6年度の税制改正の大綱を閣議決定しました。今回はその中から所得税・個人住民税の定額減税(特別控除)について説明したいと思います。

(2)内容

①対象者 

令和6年分の所得税・個人住民税に係る合計所得金額が 1,805 万円以下(給与所得者の場合は給与収入が2,000万円)である者が対象となります。

②控除額 

 所得税個人住民税
本人3万円1万円
同一生計配偶者又は扶養親族1人につき 3万円1人につき 1万円

③特別控除の実施方法(所得税)     

区分控除方法控除しきれない場合
給与所得者令和6年6月1日以後最初に支払いを受ける給与等につき源泉徴収される所得税の額から控除します以後令和6年中に支払われる当該給与等に係る源泉徴収税額から順次控除します
公的年金等 の受給者令和6年6月1日以後最初に支払いを受ける公的年金等につき源泉徴収される所得税の額から控除します以後令和6年中に支払われる当該公的年金等に係る源泉徴収税額から順次控除します
事業 所得者等令和6年分の所得税に係る第1期分予定納税額(7月)から本人分に係る特別控除の額に相当する金額を控除します第2期分予定納税額(11 月)から控除します

④特別控除の実施方法(個人住民税)

区分控除方法
給与所得者 (特別徴収)令和6年6月に給与の支払いをする際は特別徴収を行わず、特別控除の額を控除した後の個人住民税の額の11分の1の額を令和6年7月から令和7年5月まで、それぞれの給与の支払いをする際毎月徴収します
公的年金等 の受給者令和6年 10 月1日以後最初に支払いを受ける公的年金等につき特別徴収される個人住民税の額から特別控除の額に相当する金額を控除します。控除しきれない金額は、令和6年度中に特別徴収される各月分の特別徴収税額から、順次控除します
普通徴収令和6年度分の個人住民税に係る第1期分の納付額から特別控除の額に相当する金額を控除し、控除しきれない部分の金額は、第2期分以降の納付額から、順次控除します

(3)注意点等

・対象となる所得には退職所得金額が含まれます。

・対象となる同一生計配偶者又は扶養親族は居住者に限られます。

・令和6年6月1日より後に雇用されて扶養控除等申告書を提出した者については、特別控除の額について年末調整時に控除します。各給与等支払時における控除については行われません。

・所得税及び個人住民税の定額減税の実施と併せ、定額減税しきれないと見込まれる者への給付を含め、市区町村から各種の給付措置が行われる予定となっています。

・令和6年6月1日より前に国外転出・死亡している者が、それまでの期間において居住者として令和6年分の給与収入を得ている場合には、確定申告により他の所得も含めた令和6年分の所得全体に係る所得税額から減税します。

*詳細は法案採決後に公表される法令等でご確認ください。


税理士法人 和田タックスブレイン 代表税理士
髙田 幸史 先生