連載8回目は『開業のツボ』後編と『医院経営のツボ』について述べてみたい。『人生は長い、無理な計画は続かない』街を見回すと多くの歯科医院の看板に目がいく。最近では「朝8時〜夜10時まで、」「年中無休」などの謳い文句もある。若いうちは無理がきくが、一生となればどうだろう。患者さんのニーズは大切だが人生は長い。『先輩の話を鵜呑みにしない』開業にあたり先輩に相談したいことは山ほどある。それを参考にしなければ開業はできない。ただすべてを鵜呑みにしてもうまくはいかない。開業の立地、個人の能力、治療の得意分野などは、人によって変わってくる。成功した先輩の真似をするだけで成功できるとは限らない。『お金の流れはしっかり把握する』開業の際、お金は必要不可欠である。どれだけ借入するのか?月の返済額はどの程度なのか?これらは知っていて当たり前。開業前後には色々と経費はかさむもの。動く金額も数百円〜数千万円単位までさまざまである。この流れをしっかり把握すべき。いざ蓋を開けてみて運転資金が予想をはるかに下回るなんてことも。『歯科医師会に入ろう!』全身疾患と歯周病の関係や口腔ケアの大切さなどは、歯科医師としては当然の知識である。それを多くの方々に知ってもらうのも、歯科医療人としての仕事である。しかし、一歯科医院だけの活動ではやはり限界がある。歯科医師会という組織ならば、大きな活動ができるのも事実であるし、色々な情報も教えてもらえる。  

ここからは開業してずっと悩み続ける『医院経営のツボ』について書かせていただく。『お金儲けも大事であるが、本質は医療である』患者さんによりよい医療を提供するにはお金儲け(経営の安定)が大事である。しかし、医療人としての本質を忘れると天に唾することになる。『旬が大事』ものには旬がある。期を逃しては価値が下がる可能性もある。お金ばかり貯めて使わないのが善というわけでもないし、医療に必要な機器の導入をみすみす逃すのももったいない。もっている自分ともたざる自分の両方をイメージし、どちらがよりふさわしいか考えよう。『つぶれない企業はない』過去の話になるが、親方日の丸の航空会社が経営破綻を起こすことを、20世紀に誰が想像しただろうか?『さまざまな人と交流を深めよう』さまざまな人と交流し意見を聞くことが重要。画一的な発想にとらわれず、「よい物はよい!」として自分に取り込む順応性がほしい。多くの人の意見を聞き判断する能力が長けた人ほど成功している。時には街にでて、交流することも必要。しかし、酒は飲んでも飲まれるな!後悔のないように。

次回は『医院経営のツボ』の後編について述べてみたい。


北九州市開業
上田 秀朗 先生