今回で連載5回目となるが若い先生に伝えたい『勉強のツボ』を2回にわたり書いてみたい。『わさびしか食べない』(長幼の序)若いときに先輩からお食事の誘いを受けたときのこと。お刺身が出された際に先輩を気遣い、わさびしか食べなかった経験がある。今では笑い話ではあるが‥‥‥。「長幼の序:長じたものは幼いものを慈しみ、幼いものは長じたものを尊敬する」の後者の例。現在社会においては、かなり薄れたようである。『「真似をするから」から「真似はイヤ」へ』若い時は先輩の身なりまで真似をするくらい、技術や歯科医師としての生き方を学んでいくべき。そして、後輩ができる年齢になったら、逆に人真似せず自分の持ち味を出して、スタッフ・後輩を指導していくべき。『クリティカル・シンキングをしよう』文字通り「批判的に考える」というわけではなく、ある事象を鵜呑みにするのではなく、自分のなかで一度咀嚼して考え、判断すべきということ。すべての論文や人の意見をそのまま真似したら、必ず迷走する。『専門的な勉強だけでは‥‥‥』1つの考え方に偏りすぎていないか。いろいろな咬合論、1歯対1歯咬合、1歯対2歯咬合、4番抜歯か否かなど、永遠の論点は多い。患者の病態はさまざまで1つの理論だけでは解決できない。『ものを頼まれる人でないとダメ!』スタディーグループは、さまざまな年齢、卒業大学、医院環境の先生方の集合体である。皆からかわいがられ、信頼される先生はいろいろなことを他の先生から頼まれる。頼まれるうちが華である。『失敗は成功のもと』新しい技術を習得するために、失敗は避けて通れないこともある、しかし、その失敗から多くを学び。今後の診療に活かす、前向きな姿勢が必要である。ただ、致命的なミスを起こさない慎重さと前準備を怠ってはならない。『ホームだけでなくアウエーで戦え』スタディーグループで勉強していると、どうしてもそのグループの考え方に染まりがちである。他のグループのさまざま先生方の意見を否定的に聞くのではなく、そういう考え方もあると頭の中に入れておくべし。また、発表も内輪だけではなく、他流試合にも積極的に参加して、コンセプトが違う先生から意見をいただくことが臨床の幅をさらに広げる秘訣なのだ。次回は私が考える『勉強のツボ』の続きを紹介してみたい。


北九州市開業
上田 秀朗 先生