連載14回目は7つのツボ最後の『若手歯科医師を育てるツボ』の残りについて述べてみる。『他人のやり方を否定せず、まずは話を聞いてみよう』他人のやり方が気に入らないことなどいくらでもある。しかし、それは心のなかにしまっておくべきだ。声を出して否定してしまうと多くの敵をつくる。それを繰り返すと独りよがりになっていく。自分の心に余裕をもとう。『今の歯科医師に欠けているものは考えること』人は少なからず考える生き物であるが、慣れてくると考えることが少なくなる。同じ処置を行うにしても患者の個体差を考えられないのでは、医療人として長くやっていけないし信頼も失う。よりよい治療法や患者さんの負担軽減などを考える事は無限大にある。考えることも私たちの大事な仕事である。『出会いを大切に』歯科医師同士の関係も希薄になっている昨今であるが、歯科医師は何も同窓生だけではない。スタディーグループでは、多くの歯科医師との出会いがある。ベテランの先生から若手の先生まで在籍している。ベテランの先生は、若手からエネルギーをもらい、若手はベテランの臨床経験を参考にできる。独りよがりでは前に進む事は難しい。『自己満足ではなく患者満足を!』若い歯科医師は口腔内の病態だけを見すぎる傾向にある。口腔内という局所に対して、さまざまな手技、知識、マテリアルを駆使することに専念して、患者さんの要望とのバランスを忘れてしまうことも…。主訴を振り返り、口腔内だけではなく患者さんの反応などから、様々な事象を読み取ることを忘れないように。『形成、圧排、印象したくないからインプラント』ある補綴科の大学院生に聞いたところ、形成、圧排、印象をしたくない、面倒くさいからインプラントの方が良いとの意見が…嘘のような本当の話。『メンター、お師匠さん、を持とう』良いメンターに出会えれば、自然と注意してくれる先輩も切磋琢磨しあえる仲間も増えてくる。私も残念ながらお亡くなりになったが、故筒井昌秀先生、故下川公一先生に出会えて人生が大きく変わった。本当に感謝している。

次回も『若手歯科医師を育てるツボ』の残りについて述べてみる。


北九州市開業
上田 秀朗 先生