ノンバーバルコミュニケーションとは、顔の表情や体の動きを使ったジャスチャーなどにより、自分の感情や考えを相手に伝えようとすることを指します。ノンバーバル=non verbal(言葉、言語)、つまり言葉や言語を伴わないものですから、声の調子や目の動き、顔の表情のほか姿勢などによってさまざまに表現をすることができます。自分のことをより相手にわかってもらうための手段でもありますが、一方で動きを抑えることによって、うまく自分の感情を隠すこともできるわけですが、これらを意図的に行うことをノンバーバルスキルといいます。

 医療現場においてのコミュニケーションは、診療中にはマスクをつけることから、目の動きや声の調子がより重要な要素となります。患者さんは、ドクターやスタッフからの言葉による説明が大切であることは疑いようがありません。しかし言葉に加えて、和やかな雰囲気の表情であったり、柔らかな声のトーンによって安心感を得たり、不安を抱く気持ちを和らげることができるものです。バーバルな部分とノンバーバルな部分からの情報を結びつけながら、より確かな多くの情報を得ようとしているのです。

 筆者は時おりスタッフ採用面接を行うことがありますが、コロナ禍においては否応なくマスクをつけていたために、履歴書の写真とマスクで覆われた表情が合致しないと感じることがありました。いろいろな質問を投げかける中で、その答え方の様子や声のトーン、あるいは目の周りの表情からどのような人物なのかを必死で探ろうとしたものです。あまりにもわかりにくい場合は、透明なアクリル板を盾に、マスクを外して面接をすることもありましたが、相手を知ろうと思えば言葉に加えてノンバーバルなコミュニケーションが重要となる場面でした。

 人は、言葉よりも視覚や聴覚から得られる情報の方が多く、約9割を占めるという実験結果もあります。コロナが落ち着き、マスクを取ることや対面での会話が増えてきた昨今、言葉とともに非言語的なスキルを上手に組み合わせて円滑なコミュニケーションを図り、患者さんやスタッフとの信頼関係がより強固に築かれることを願います。


デンタル・マネジメント・コンサルティング
門田 亮 氏