みなさま、こんにちは。株式会社シェルクレール代表歯科衛生士、佐藤朱美です。 先月に引き続き、「接遇マナー」をテーマにお話をさせていただきます。今回のテーマは、患者さんの期待に応え、信頼関係を築くための第一歩です。私たちが日々どのように患者さんと向き合うべきか、一緒に考えてみましょう。

患者さんの期待を理解することから始ま

接遇マナーの基本は、患者さんの期待や心理をしっかり理解することです。

特に初めて来院される患者さんは、さまざまな期待を胸に私たちの歯科医院に足を運びます。保険診療を希望される方もいれば、より高品質な自費診療を求める方もいます。特に自費治療を選ぶ患者さんにとって、それは単なる治療ではなく、「ステータス」としての価値を伴うものだと考える方も少なくありません。そのような患者さんは、治療の前段階である受付やスタッフの対応にも、きめ細やかな配慮を期待しています。

明るい笑顔、丁寧な言葉遣い、正しいマナーを備えた接遇が当たり前だと思っているのです。ここで想像してほしいのが、超一流ホテルや航空会社の接遇です。以前ある雑誌で紹介されていた「超一流ホテルでの顧客苦情トップ3」をご存知でしょうか?それは以下の3つです。

  1. 声が小さい
  2. 表情が暗い
  3. 順番を飛ばされた

驚くほど些細に見えるこれらが、超一流と言われるホテルでも苦情の上位を占めています。では、これを歯科医院に置き換えてみるとどうでしょうか?おそらく似たようなことが患者さんの不満に繋がっているはずです。しかし、このような不満は設備投資をせずとも、スタッフ教育で解決できるものばかりです。

来院される患者さんの思いと行動について(図挿入)

患者さんの期待を超える対応とは?

患者さんが歯科医院に期待するものは、実はとても明確です。

  • きちんと治療してくれるだろうか?
  • 痛みを伴わずに丁寧に診てくれるだろうか?
  • 費用はどのくらいかかるのか?

これらの期待を胸に、多くの患者さんは「期待に応えてくれるだろう」という希望と同時に、「裏切られたくない」という不安を抱えています。この期待に対する私たちの対応次第で、患者さんの反応は大きく変わります。

  1. 期待を下回った場合:患者さんは不満を感じ、他の医院に移る可能性があります。また、場合によってはクレームに発展することも。
  2. 期待通りだった場合:患者さんは特に不満を持つことなく通院を続けてくれますが、何か別の良い選択肢が現れると離れてしまう可能性があります。他に良いところがあると聞けば行ってみようと思うのが人の心理なのです。
  3. 期待を超えた場合:患者さんは満足や感動を覚え、私たちの医院やスタッフのファンになります。その結果、リピーターとして通い続けてくれるだけでなく、新しい患者さんの紹介に繋がります。

信頼関係を築くために必要な「傾聴力」

患者さんの期待を超える対応をするためには、まず「患者さんの心理」を深く理解することが大切です。患者さんには大きく分けて以下の3つの心理があります。

  1. 歓迎されたい、歓待されたい心理
  2. 特別待遇されたい、優越感を感じたい心理
  3. 気持ちを理解されたい心理

これらの心理に寄り添うために必要なのが、「傾聴力」です。傾聴力とは、ただ話を聞くのではなく、患者さんの言葉に耳を傾け、その気持ちを理解しようと努める力のことを指します。この力を高めることで、患者さんは「自分のことを理解してくれる」と感じ、自然と心を開き、信頼関係が築かれていくのです。

次回のコラムでは、この「傾聴力」をさらに深く掘り下げ、どのように実践し高めていくかについて具体的なポイントをお話しします。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。次回もぜひお楽しみに


株式会社シェルクレール 代表取締役
佐藤 朱美 氏