
2026年9月18日に行なわれた金融政策決定会合において、日銀は政策金利を1.0%から1.25%へ0.25%引き上げることを発表しました。金利の動きとしては、わずか2年あまりのうちで6回引上げが行われましたが、さらに2027年には1.5%~2.0%まで到達するという市場の予測もあることから、あと数回の利上げが行われる見通しが持たれています。第578号において住宅ローンへの影響を記述したところですが、事業資金においても大幅な金利上昇は避けられず、3年固定などのプランで借り入れているものがあれば、次の更新時においては大幅な金利上昇の提案が見込まれるため、金融機関との交渉に向けて着実な準備を進めておく必要があります。
金融機関からの大幅な金利提示に対しては、他の金融機関へ借り換えを行う姿勢などを見せる、いわば相見積もりを取ろうとすることも交渉の一つの方法ですが、今こそしっかりとした事業性を明確にすることが大切になります。あらゆる場面で経営にかかるコストが上がっている状況においては、自費診療の料金の見直しをせざるを得ませんが、コストが上がったから仕方なくという後手に回る上げ方よりも、経営理念や方針に基づき、医院の価値を維持するために見直しを行うという強く積極的な姿勢が必要です。新たに行う設備投資においても、立地条件に則した診療方針を明確に打ち出し、柱となる診療に必要となる設備を選定することが、患者さんへの適正な価格として反映されることになり、それが後に収益力の向上に繋がり歯科医院を維持する盤石な基盤となるものです。どのような状況においてもブレない姿勢こそが重要であり、歯科医院にとっては金融機関との金利交渉への大きな強みとなるものです。
コスト面においては金利上昇のみならず、最低賃金においても2026年度の全国加重平均が1,177円となり、2025年度と比較して金額では56円、引上げ率は約5.0%となりました。ここ数年での急激な5%以上の引上げに現場は追われる状況にありますが、こちらも経営理念、方針に基づく取り組みを強めていただきたいと思います。人材不足は今に始まったことではありませんが、それでもどのような人材でもよいわけではありません。給与水準が向上することで、給与の多寡によって職場を選ぼうとする人材は増えている状況ですが、歯科医院がより強く理念を打ち出すことにより、医院の考えや将来の構想に共感する求職者を引き寄せることにつながります。
今後、より重要になる経営姿勢として、院長が貫こうとする経営方針や理念を明確にし、金利負担が大きくても理念に合致した設備は積極的に導入し、医院の方針を理解しようとするスタッフを全力で守る取り組みを進めてください。医院にとって何が必要で、何が不要かを理念や経営方針に基づいて判断し、かけるべきコストと抑えるコストをはっきりと分けることが大切です。
デンタル・マネジメント・コンサルティング
門田 亮 氏