
歯科医院の将来計画を考える際に、わかりやすいのは、これまでの決算期ごとの実績や経営数値の推移をもとに「来期は今期の実績プラス〇%アップを目指す」、「固定経費を〇%削減する」といった経営予測です。収入を増やすことを目指すのか、あるいは経費管理の体制を万全に整えて所得(利益)を増やそうとするのかによって、意識するポイントは若干異なる点がありますが、いずれも過去(実績)を起点として組み立てることに主眼が置かれます。実績をもとにして計画を考えることは非常に堅実で、大きくぶれることがないことから計画を立てやすい点があります。
一方で、将来はこのようなことを達成したい、実現したいというものを念頭に置き、未来に目を向けた計画作成も、これから必要な視点となるのではないでしょうか。先の見通しが難しい環境下ゆえに、院長の強い思いや願いは、歯科医院経営を進める上での大きな推進力にもつながります。将来実現したい姿をより具体的に描き、それを元に計画を立てることは自身のファイナンシャルプランにも密接に関係することになります。歯科医院の将来、自身の今後などそれぞれを考える上で、事業用資金面ではチェアーの増設や更新、CTやマイクロスコープなど大型医療設備の導入のほか、レセコンや画像診断ソフトの更新など、まとまった資金を必要とする計画策定に加え、個人の行事として、自家用車の購入や大型の旅行費用、あるいは住宅費用など、思い描く将来像を目に見える形で計画づくりを行います。
そのための必要資金や、必要収入を考えると、時として現在の収支状況からは異なる水準の実績を必要とする場合がありますが、3年先、5年先、あるいは10年先の姿を実現するために、今何をすべきかをより現実的に考えられるようになります。未来の歯科医院の姿を実現するために、人員構成をどのようにするか、医療設備をより充実させるためにはどうすればよいか、など、そして、それをどのような順序で実現していくかということを考えますと、今日から明日にかけて、また明日から将来に向けての積極的な行動へと繋がります。
広告宣伝などを手掛ける広告代理店大手博報堂が、関係会社の博報堂生活総合研究所を通じて「未来年表」というものをまとめています。世の中に公表されている未来予測関連の記事やレポートから、未来予測に関する情報を収集しデータベース化したものですが、医療、宇宙、環境から経済、社会にいたるまで、多くの分野別に2150年までの未来予測記事が掲載されています。すべての内容には、「○〇年までに○○になる」という記事の出典、資料名、発表時期が付記されていますが、歯科医院の将来計画においても、少し実績から離れて「〇〇年までに○○を実現する」という自らの思いを強く打ち出すことが大切です。
人間の予測を大きく上回るAIの進化や気候変動など、過去からは想像もつかないような環境の変化が進んでいますので、歯科医院経営も過去の実績に縛られず積極的に未来に目を向けた取り組みを意識したいところです。
デンタル・マネジメント・コンサルティング
門田 亮 氏