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第1回 病院への歯科訪問診療

みなさん、初めまして。 広島県福山市で開業している、猪原[食べる]総合歯科医療クリニックの猪原健と申します。当院は、外来診療と歯科訪問診療の比率が半々で、特に高齢者歯科や摂食嚥下リハビリテーションに力を入れているクリニックです。


本連載では全6回にわたり、令和8年度診療報酬改定の内容を手掛かりに、医科歯科連携の「これから」を考えていきたいと思います。 連載の予定はこちらです。

  • 第1回 医科連携訪問加算500点 ― 病院に訪問しよう!(本号)
  • 第2回 周術期口腔機能管理でSPTが算定可能に
  • 第3回 退院時共同指導と退院・在宅療養支援
  • 第4回 在宅医療における多職種協働
  • 第5回 歯科衛生士による口腔機能管理
  • 第6回 医科歯科連携の未来像 ― 地域包括ケアの中で

さて、第1回「医科連携訪問加算500点 ― 病院に訪問しよう!」です。

皆さんは、歯科訪問診療はどちらに行かれていますか?ご自宅や施設に行かれている方は多いと思いますが、病院には、なかなか敷居が高いのではないでしょうか?訪問されたとしても、施設と違って病院はバタバタしている雰囲気があったり、看護師さんに質問しづらかったり、リハビリやお風呂のスケジュールが詰まっていて、訪問する時間制限が厳しかったり・・・、なかなかのハードルがあります。 以上のような事情があり、これまで、歯科の病院に対する歯科訪問診療は、あまり行われてこなかった、という状況がありました。

しかしながら、病院への歯科訪問診療は患者さんのQOL向上にとても効果的であり、もっと積極的に行われるべきだ、というのが国・厚労省と、日本老年歯科医学会の共通した考えです。このようなことを踏まえ、令和8年度の診療報酬改定では、病院が歯科クリニックに対し歯科訪問診療を依頼した際に病院側が算定できる600点と、歯科クリニックが病院に歯科訪問診療を行った際に算定できる500点(医科連携訪問加算)が新たに新設されました。 では具体的に、どのようなことに効果的なのでしょうか? 

例えば長崎市では、1997年の『長崎脳卒中等口腔ケア支援システム』を源流として、長崎リハビリテーション病院と長崎市歯科医師会が連携し、開業歯科医が病院に訪問して診療する仕組みを築いてきました。こうした取り組みで、口腔管理が患者のADL改善に寄与することも示されています。

また同じく九州ですが、熊本リハビリテーション病院の歯科衛生士である白石愛氏の報告によると、回復期リハビリ病棟の高齢患者の約8割に口腔機能障害があり、うち30%以上が重度でしたが、入院中の歯科による介入により退院時に口腔衛生・口腔機能が改善した群は、改善しなかった群と比較して、ADL(日常生活動作の能力)が有意に高かったとされています。

現在、国内にある病院のうち、約8割には歯科や口腔外科が併設されていません。つまり病院への歯科訪問診療が求められているのです。6月以降、病院からの依頼が増えると予想されますので、対応できるよう準備をしておきましょう。


広島県福山市開業
猪原 健 先生