
みなさま、こんにちは。株式会社シェルクレール代表歯科衛生士、佐藤朱美です。 7月に入り、まもなく梅雨明け、今年もまた暑い夏がやってきそうな予感ですね。 今回は「デンタルエステティック」について、お話しさせていただきます。
私が歯科衛生士になった33年前はデンタルエステティックという言葉はなく、ここ数年「デンタルエステ」という言葉を耳にする機会が増えてきました。 私自身、歯周治療の一環として2002年にジェルコートF、2004年にリペリオ(共にウェルテック株式会社)を使用して歯肉マッサージを取り入れていました。 日々、患者さんに歯肉マッサージを行っていく中で、患者さんの歯肉の回復と口腔機能改善や唾液の分泌促進、リラクゼーションなどの効果が見られたことからデンタルショーや企業様主催のセミナー等で講演させていただき 試行錯誤を繰り返し、現在のデンタルエステティックの手技が確立しました。
現在、日本におけるデンタルエステティックの認知度は上がってきているものの、実際の臨床に取り入れている歯科医院や歯科衛生士は非常に少なく感じています。 歯科医院でのスタッフ教育の現場でも「なぜデンタルエステティックが必要なのか?」を正しく理解している歯科医師や歯科衛生士は少なく、歯科衛生業務の「おまけ」程度にしか認識されていないことはとても残念です。
歯科医院での治療では、具体的に明確な臨床症状があり、それに病名を付けたのちにその病名に適切な処置方針が決まる。この流れは保険診療の根幹でもある。しかしながら、スマートフォンやPCなど多くのデジタル機器を使い、人間関係や社会構造が複雑化した現代社会では、はっきりと確定診断ができない「心的ストレス」、「運動不足」、「睡眠不全」や「生活サイクルの乱れ」などに起因する様々な不定愁訴を持つ人が多いのではないでしょうか。現在このような問題が多く存在するとさせる根拠は、各種サプリメントの発売やエステサロン、リラクゼーションサロンなどが盛況なことからも明らかであると考えています。
特に口腔領域は、頭部、首部や肩部にも近接し、そこには咀嚼運動に関する咀嚼筋ばかりか顔面の浅い所に位置する表情筋や開口・嚥下に関わる舌骨上・下筋群(頸部・肩部の運動にも関与)などの様々な筋群が存在します。さらには顎運動の基軸となる顎関節に問題が波及すると関節痛や運動障害などにより日常生活に支障をきたすこともあります。
そこでこのような問題点を解決するための職種として考えられるのは、歯科医学的知識があり予防歯科処置を行っている私たち歯科衛生士が最も相応しいと考えました。これまでの歯科衛生士業務に加えて、デンタルエステティックという新たな分野を担当する職種として歯科医学の知識があり、予防歯科処置を行っている歯科衛生士がさらに「やりがい」や「生きがい」を感じてもらえるだけでなく、歯科医院に来院される患者さんに対して、口腔内や口腔領域に直接触れることができる私たち歯科衛生士がデンタルエステティックを行うことにより、患者さんにより歯科に関心を持ってもらい予防歯科への入口となることも期待できると感じております。
また私自身、4年程前からから全国でも初の試みとして札幌看護医療専門学校歯科衛生士学科・2年生を対象にデンタルエステティックの授業を行っており、デンタルエステの技術を体得することで、「未来の歯科衛生士が輝ける新たなフィールド」として捉えています。
次回は弊社で行なっている「デンタルエステティック」の種類と方法についてお話ししていきます。どうぞお楽しみに。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
株式会社シェルクレール 代表取締役
佐藤 朱美 氏