
こんにちは。株式会社シェルクレール代表で歯科衛生士の佐藤朱美です。春のやわらかな陽ざしに、心もほっと緩む季節となりましたね。 今回は「医療ホワイトニング」について、私のこれまでの経験を交えてお話しさせていただきます。
私がホワイトニングに携わるようになったのは、歯科衛生士になってすぐのことでした。今から33年前、当時は「ホワイトニング」ではなく「漂白」と呼ばれていた時代。日本ではまだホワイトニング製品は認可されておらず、多くの歯科医師が海外から個人的に薬剤を取り寄せ、試行錯誤しながら提供していました。
それから時を経て、ホワイトニングは大きく進化しました。今では日本国内でも多くの医療ホワイトニング製品が認可されており、松風のハイライト、GCのティオンオフィス、ウルトラデントのオパールエッセンスブースト、モリタのピレーネなどが代表的な製品です。それぞれ過酸化水素の濃度も異なり、患者さんの歯の状態や希望に応じて使い分けることができます。ホームホワイトニングの分野でも、選択肢はぐんと広がりました。ジェルの濃度や使用方法の違いにより、さまざまなライフスタイルの方に対応できるようになってきています。
思い返せば、私がホワイトニングに携わり始めた頃は、ホワイトニングを希望される患者さんはほんの一握り。認知度も非常に低く、「なぜ歯を白くするのか?」と不思議がられることも少なくありませんでした。 しかし、今では多くの雑誌やメディアで「健康的な歯の習慣」としてホワイトニングが紹介されるようになり、世の中の関心は年々高まっていると感じます。白い歯を手に入れることは、ただ見た目を整えることではなく、自分の歯に意識を向けるきっかけにもなります。ホワイトニングをきっかけに「銀歯を白いものに替えたい」「もっと歯の健康に気をつけたい」と、患者さん自身の中に眠っていた意識が芽生える瞬間に立ち会えるのは、私たち歯科衛生士にとって大きな喜びです。
一方、ここ数年で「セルフホワイトニング」という言葉もよく耳にするようになりました。歯科医院では「ホワイトニング」と表記していましたが、サロンなどの普及に伴い、近年では私たちの行うものを「医療ホワイトニング」と呼び分けるようになりました。 私自身、セルフホワイトニングを経験した患者さんから「白くならなかったので、やっぱり歯科医院でやりたい」と相談を受けたこともあります。

セルフホワイトニングと医療ホワイトニングの大きな違いは、薬剤の濃度や使用方法、そして施術者が医療のプロかどうかという点です。私たちはその違いを正しく理解し、患者さんにわかりやすく説明していくことが求められています。 そして現在、私は大阪歯科大学 解剖学講座にて「歯のホワイトニング」に関する研究にも携わらせていただいています。研究には時間を要しますが、将来、臨床現場で役立てていただけるような知見を皆さんと共有できる日を目指して、日々取り組んでいます。
次回は、ホワイトニングを成功に導くための“大切なポイント”についてお話しする予定です。どうぞお楽しみに。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
株式会社シェルクレール 代表取締役
佐藤 朱美 氏