みなさまこんにちは。株式会社シェルクレール代表歯科衛生士、佐藤朱美です。

前回に引き続き、「接遇マナー」をテーマにお話しします。今回は特に、患者さんとの信頼関係を築くために 欠かせない「傾聴力」について掘り下げます。

傾聴力とは何か? 傾聴力とは、相手の話を真剣に耳を傾け、理解しようとする能力です。ただ聞くだけではなく、「相手が話しやすい雰囲気をつくり、その気持ちに寄り添う」技術ともいえるでしょう。この力は信頼関係を構築するだけでなく、あらゆる人間関係を良好にするための大切な要素です。

私自身、歯科衛生士として患者さんとの信頼を築けずに悩んだ経験があります。ミスや失敗をしたとき、傾聴力を活かしていたなら、「大丈夫」と言っていただけたかもしれません。しかし、当時の私は患者さんの話を真摯に受け止めることができず、「やっぱりあなたね。。」と不信感を抱かれることもありました。 この経験から学び、私は「信頼関係を築くための傾聴の基本」を「あ・い・う・え・お」として実践しています。

傾聴力を高める「あ・い・う・え・お」

あ:アイコンタクト

相手の目を見ることは、興味や関心の表現です。目を見ない対応は無関心な印象を与えてしまいます。

い:一生懸命

会話中に他のことを考えたり、作業をしながら話を聞いたりしていませんか?特にインカムを使用する歯科医院では、注意が必要です。患者さんに「自分の話を優先して聞いてくれている」と感じてもらうことが大切です。

う:頷きながら

頷きは相手の話を受け止めているサインです。しっかりと頷くことで、患者さんに安心感を与えます。

え:笑顔

笑顔は基本です。ただし、患者さんが辛そうな場合は表情を相手に合わせる柔軟性も必要です。

5. お:おしまいまで聴く

話を途中で遮らず、最後までしっかり聞くことが重要です。途中で意見を挟むと、患者さんに「自分の話を否定された」と感じさせてしまいます。

初対面から少なくとも3回目の接触までは、この「あ・い・う・え・お」を意識して実践してみてください。そうすることで、患者さんは自然と心を開き、「ここなら、あなたなら安心して任せられる」と感じてもらえるでしょう。

患者さんの期待を超える接遇マナーとは?

私が歯科衛生士になった33年前と比べ、現在では歯科医院も患者さんから選ばれる時代になりました。今は「満足」だけではなく「感動」を提供することが求められています。患者さんの期待に100%応えるのは当然のこと。それを超えて、感動を与えるにはどうすればいいのでしょうか? その鍵となるのが「接遇マナー」です。接遇マナーを一言で表すなら、「相手を大切に思う心を形にしたもの」、つまり「心遣い」と言えます。

ここで大切なのは、気持ちだけでなく、それを態度や行動で表現することです。どれほど相手を思いやっていても、それが形に現れなければ相手には伝わりません。逆に、形だけの対応では事務的で冷たい印象を与えてしまいます。接遇マナーは、相手を思いやる心と行動が重なりあって、初めて効果を発揮するのです。

心遣いの実践で関係性を深める 「心遣い」とは、自分の心を相手に寄り添わせること。たとえば、患者さんの気持ちに寄り添い、適切な言葉をかけたり、行動を起こしたりすることです。この心遣いには段階があり、患者さんだけでなく、医院の仲間や家族との関係性にも応用できます。 心遣いを日常生活でも意識して実践することで、良好な関係を築くことができます。

次回は、ホワイトニングに関するテーマでお話しします。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。次回もぜひお楽しみに


株式会社シェルクレール 代表取締役
佐藤 朱美 氏