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第2回 いつもの日常の先にある周術期口腔機能管理

ある日、SPTで定期管理している患者さんの診療中、担当の歯科衛生士から声をかけられました。 「今、診ている患者さんですが、来月に乳がんの手術を受けられるとおっしゃっています。いつも元気な方なので、ちょっとショックですが……。何か、私がしておくべきことはありますか?」乳がんは、若い女性に多い病気で、全ての女性のうち14人に1人の割合で、一生のうちにどこかで罹患すると言われているため、決して珍しい話ではありません。

ただ、周術期口腔機能管理と聞くと、多くの先生方は次のような場面を思い浮かべられるのではないでしょうか。主治医から「手術が決まりました。口腔ケアをお願いします」と紹介状を持参された患者さん。普段はあまり歯科にかかっておられず、口腔内を見れば動揺歯、未処置の齲蝕、歯石の沈着 ― 手術まで残り二週間、何から手をつけたものか、と頭を抱える。結局、処置が間に合わず、感染源を残したまま手術に送り出さざるを得ないことすらある・・・。

しかし、冒頭の患者さんはそうではありません。日常的にSPTで管理を続けてこられた、口腔内が良好な方です。歯石もほとんどなく、歯周ポケットもほぼ安定し、セルフケアも身についている。この患者さんにとって、周術期口腔機能管理とは「慌てて整える」ものではなく、「いつも通りの管理を、より丁寧に続ける」ものになります。

ここに、周術期口腔機能管理の新たな姿があると思うのです。手術が決まってから駆け込みで対応するのではなく、日常の歯科管理が行き届いている患者さんだからこそ、周術期を安全に乗り越えていただける。かかりつけ歯科医が日頃から口腔衛生を守っていることが、そのまま手術の安全性に直結する ― これは、私たちの日常診療の価値を改めて照らし出すのではないでしょうか。

加えて、乳がんの場合にはもう一つの注意点があります。乳がんは、実は骨転移を起こしやすい代表的ながんであり、骨転移がある場合には高用量ビスフォスフォネート製剤(ゾメタ®)や抗RANKL抗体薬(ランマーク®)が使用されます。骨修飾薬関連顎骨壊死(MRONJ)のリスクが高くなってしまいかねません。冒頭の患者さんも、今は手術の話だけですが、今後の経過によっては骨修飾薬が導入される可能性があります。万が一の、その日が来る前に抜歯など侵襲的処置の必要性を評価し、口腔衛生を徹底的に整えておく・・・。より厳密な口腔管理体制への移行を、今から準備しておく必要があります。

なお令和8年度診療報酬改定では、周術期口腔機能管理期間中もSPTの算定が可能となります。長年SPTで管理してきた患者さんに対し、周術期を挟んでも一貫した管理を届けられるようになるのです。

冒頭の歯科衛生士への答えは、こうなるでしょう。

「いつものSPTを、変わらず丁寧に続けて下さい。それが一番の周術期管理ですから。僕のほうから主治医の先生に、情報共有と周術期口腔機能管理依頼のお手紙を書いておきますね。」


広島県福山市開業
猪原 健 先生

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税理士法人 和田タックスブレイン 代表社員税理士
髙田 幸史 先生

【削除予定】

デンタル・マネジメント・コンサルティング
門田 亮 氏