
経済産業省では「キャッシュレス比率」という指標を発表しており、2026年3月31日付でリリースされた資料によりますと、2025年の民間最終消費支出に占めるキャッシュレス決済比率は58.0%(162.7兆円)とのことです。将来的には80%を政府目標としており、当面は2030年までに65%にするという中間目標に向けてキャッシュレス決済の推進に向けて取組んでいます。
決済内容の内訳を見ると、クレジットカードが82.7%(134.6兆円)と大半を占めており、以下、コード決済10.2%(16.6兆円)、電子マネー3.7%(6.0兆円)、デビットカード3.4%(5.5兆円)と続きます。コード決済の統計がある2018年分においては決済比率が29.8%(73.7兆円)となっていることから、7年で2倍以上の取引が行われるようになっています。2018年分の決済内訳を見ると、クレジットカード90.5%(66.7兆円)に対してコード決済はほんの0.2%(0.2兆円)しかなかったことから、スマホでQRコードを読み取るだけで決済が完了する方法が急速に伸びてきていることがわかります。
政府目標としては、2025年までにキャッシュレス決済比率を4割程度にするという目標を、短期間で大幅に上回ったことから、今後より一層の普及に力を入れるのではないでしょうか。
医療におけるキャッシュレス決済に関する統計資料としては、厚生労働省による「医療機関における外国人患者の受入に係る実態調査結果報告書」(最新令和7年3月)の中に、キャッシュレス決済の導入状況をまとめた資料があります。病院を除く診療所においては、医科・歯科を合わせて、個人診療所(55.3%)・医療法人(38.3%)を内訳とする統計資料ですが、キャッシュレス決済を導入しているという診療所は、クレジットカード35.8%、コード決済11.2%、電子マネー12.3%にとどまります。自費診療が多い歯科医院では、キャッシュレス決済の導入比率はもう少し高くなると予想されますが、それでも保険診療における患者さん負担分は現金のみ対応としているところが大半ではないでしょうか。つまり、「現金決済のままでも困ることがない」「加盟店の手数料が高い」ことから、喫緊に導入する必要性がないことが現状ではないかと思います。
今後の懸念としては、①スタッフの確保難により現金の授受を行う時間が取れない、②キャッシュレスが日常になることにより、うっかり現金を忘れて来院する、などが考えられます。給与単価の高騰を受けて十分にスタッフを確保できない状況が続く場合、自動精算機など無人対応できる方法を検討する可能性が生じますし、現金を持ち合わせない患者さんについては、未収金として改めて回収を行うリスクが生じます。
一方、キャッシュレス決済を導入した場合には、決済手数料もさることながら、決済手段の種類が増加するため、それぞれに異なる入金サイクルの管理が生じる可能性があります。人手不足に対応するため、あるいは業務を効率化するためとして普及が進むキャッシュレス決済の仕組みですが、医院としてどう対応するのが最善策かを考えておく必要がありそうです。
デンタル・マネジメント・コンサルティング
門田 亮 氏